元祖ブレードフックは17年の歴史

スピナーブレード。日本語で言えば「金属製回転集魚翼」とでも表現できるだろうか。渓流のルアーフィッシングは近年でこそミノーイングが主流だが、かつてはスピナーが主流の時代が長かったし、未だにルアーフィッシングの「基本」であることに違いはない。
そして、このスピナーブレードのア ピール度の高さは我々の想像をはるかに凌ぐものである。
魚種を問うことなく、ほぼ全ての対象魚に効果的。
フレッシュウォーターではイワナやヤマメ、サクラマス、ニジマスなどのトラウト類はもちろ ん、サケ、カラフトマスなどのサーモン類にも、そしてバスフィッシングにさえ欠かせないアイテムとして定着している。

スピナーブレードに対するフィッシュイーターの反応の良さは我々の想像を絶するが、欠点が無いわけではない。
その欠点のひとつはそれ 自体にフッキングの能力が無いこと。カサゴ類やシーバスなどの、いわゆる「吸い込み捕食」型の魚なら、ブレードとフックが離れて いてもフッキングしてくれることはあるが、アイナメやマダイなどの口吻でついばむように捕食するタイプのターゲットでは状況が大きく変わってくる。
具体的には、ブレードにはバイトしてくるがフッキングには至らず、バイトを感じたままで延々とリトリーブを続けなければならない状況に 陥いったり、ブレードの取り付けが不十分であれば、ブレードだけ噛み取られることもある。

この状態を回避するために、ブレードの上端や下端にフックを付けてみたり・・という試みも行われた。しかし、いずれも不十分であり、実用的とは言えなかった。
ブレードを固定するアイの部分にフックを付ければ、ブレードの回転を妨げるし、ブレード本体にフックを付ければ、フックもブレードと一緒に 回転してしまう。
そもそも、誰もが思いつくトリプルフック+ブレードという組み合わせでは、この理想を具現化することができないのである。

あくまで「ブレード効果100%で、フッキングを妨げない」ことを大前提に何度も試作品を作りテストを繰り返す。ターゲットは当時確立を目指していたライトジギングによるマダイ。
最初にテストしたトリプルフック+ブレードという組み合わせはシーバスやカサゴ類ならば問題ないが、マダイには通用しな かった。バイトしてもフッキングせず、ブレードだけ無くなってしまう状況が頻発したからだ。つまり、マダイはブレードに食いついている。 だからと言って、フックのアイレット部分に単純にブレードを付けただけではブレードが回転しないので意味がない。
結果、ブレードにア タックしてきた魚を確実にフッキングに導くためには、フックとブレードが一体でなくてはならないという結論に達する。

そこで発想の転換。

フックにブレードをプラスするのではなく、「フックとブレードを一体化する」とい う方法を考えることにした。それ単体でルアーの役割を担うようにするのである。そのためにはシングルフックが不可欠であり、ブレードを咥えた時に確実にフッキングできる位置を模索し繰り返しのテストを経て生まれたのが後に「元祖ブレー ドフック」として知られるようになるSB HOOK。JR福知山線で多くの犠牲者を出したいたましい脱線事故があった2005年のことである。

近年、マダイのライトジギングが脚光を浴び、メタルジグ+ブレードという組み合わせが大流行だが、それはけっして新しいものではなく17年も前に確立されたもの。当時からメタルジグは28-40gを中心に使用していたので、現代の感覚で言えばライトジギングよりさらにライトな「マダイSL(スーパーライト)ジギング」と言って過言ではない。そして「東北発祥」(実は青森発祥)と言われるマダイライトジギングの発展に大きく貢献してきたのがSB HOOKに他ならない。

2006年の販売開始から16年。全国のアングラーに使用していただきながら 少しずつ改良を加えつつ進化を続けるSB HOOKを、これまで以上に愛用していただければ幸いである。

 

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