多分、98ツインパワー。24年も前のリールは、構造も単純で作りも頑丈。軽さと巻心地を追求した現代のリールとは、設計のコンセプトが全く違うように感じる。何よりも、未だに現役で使えるし、愛用し続けている人が居る。正直言って古いリールのメンテは大変だけど「釣り仲間の形見だから」と言われれば、引き受けないわけにはゆかない。

 この時代のシマノリールの泣き所は、ローターの中にあるフリクションリング。ゴム製のパーツで、経年劣化で溶けてボロボロになってしまう。フリクションリングがダメならば、代替品を作らなければならないのでとても手間が掛かる。だが、ラッキーなことに生きていた。でも、もともと青いゴムのはずだが、何故黒い?
そういえば、10年ほど前にもこのリールのメンテを依頼されたことを思い出した。その時、シマノから代替品を仕入れて交換したのだ。余談だが、フリクションリングはここ20年の間に自分が知るだけで4回形が変わった。今のタイプは14年頃から継続して使われているが、これも「ハンドルを回してベールを返す」使い方を続けると、「内ゲリ当り」が減って、ローター内の「内ゲリレバー」が干渉するようになり、やがてリングが伸びて、ローターがロックしてしまうという不具合を起こす。つまり、フリクションリングは未だに完成していないということだ。

 1台はストッパーの逆転、もう1台はベールの不具合。当たり前だがパーツはもう無いので、直せる範囲でレストアしてゆく。丁寧に作業して1台に約2時間。土曜日に使いたい・・というご要望に、なんとか応えられたようだ。完全分解清掃とグリスアップを完璧にやったので、まだまだ使えます。