ダイワリールを自分でメンテナンスする場合、ネックになるのがマグシールドだろう。できるだけマグオイルを減らさないように分解することも可能だが、時には悪さをする存在だけに、自分でメンテできる方ならマグオイルを除去してしまったほうが良い。
 しかしマグオイルを除去しただけでは問題が発生する。それは、マグシールドプレートの磁力が、滑らかな回転を妨げるからである。マグシールドプレートとクラッチリングの間には、本来マグオイルが存在し、水の侵入とお互いの摩擦を防いでいるが、オイルが無くなることでお互いが磁着してしまい、ローターの回転を悪くする。また、クラッチリングとクラッチの帯磁を招く可能性もある。よって、マグオイルが無い環境では、強力な磁力は厄介者でしかない。
 そこで、磁力を消磁する必要が出てくるのだが、この磁力がなかなか強力で、消磁機を使っても完全には消磁できない。マグネット部分は接着剤で接着されていて、ペンチなどで割って取ろうと思えば取れるのだが、マグネットとワッシャーをプラスした厚さが、クラッチの浮き上がりやズレを防止しているため、もしマグネットを割って取り除いた場合には同等の厚さのシムが必要になる。ホームセンターで内径と厚みが同じゴムパッキンを購入して代用するという方法もあるが、もっと簡単に完全消磁ができて、そのままシムとしてマグネットを再利用可能な方法がある。
 それはマグネット部分をバーナーやヒートガンで炙って熱を加えるという方法(熱消磁)。磁石の種類によって異なるが、キュリー温度に達すると磁石の磁力はゼロになり、冷めても磁力が復元することはない。ダイワのリールに採用されている磁石の種類はわからないが、それほど高温でなくても消磁できるのでネオジウム(キュリー温度330℃前後)かもしれないし、フェライトであっても概ね500℃程度の熱で熱消磁が完了する。尚、キュリー温度よりも高い温度で熱し続けると、脆くなって割れてしまうので、ある程度熱したら冷まして、磁力の状態を確認するのが賢明だ。
 熱消磁をした後は、クラッチリングとマグネップレートとの摩擦が無くなるため、回転の滑らかさは明らかに向上する。火傷に注意。

 

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