釣りを楽しむ上で、大きな障害になるのが「先入観」かもしれません。自然相手、生き物相手の釣りには正解も不正解もありません。昔は釣り雑誌の中で、「セオリー」という言葉を頻繁に目にし、自分も使っていましたが、今では死語となっています。

先日、船釣りをしていて、釣り仲間とマダイジギング開拓時の話になりました。小泊、裏竜飛沖で、マダイジギングを模索していた時代の話です。3シーズンに亘り、3月中旬以降、三厩から船を出してもらい、小泊でマダイを狙ったのですが、その時に使用していたメタルジグの重さは200g前後でした。「そんなに重いの?」と思われるかもしれませんが、マダイさえ存在していれば、200gのフォールでも普通に水面下10~20mで食ってくるのです。フォールで食わなくても巻きで食ってくる。しかも当時はまだアシストフックという概念がなく、テールに1/0か2/0のトリプルフック1個だった時代。それでもガッチリとフッキングしてマダイが釣れたのだから、いかに貪欲な魚かがわかるでしょう。実際、ルアーと呼ばれるもなら何でも釣れるし、タイラバやインチクなどの漁具でも釣れる。何にでも食いついてしまう貪欲な魚だからこそ(業界にとってはドル箱ターゲット)、新しい釣り方が成立しやすいターゲットなのです。

では、なぜ青森発祥の元祖マダイジギングが40g前後のメタルジグで始まったのか?というと、その前身のブラーマダイ(陸奥湾のエサ釣り)からタックルが継承されだけのことでなのです。陸奥湾で行われていたブラーマダイ(西田式ブラーという短冊形ブラクリにアオイソメの釣り)では、標準タックルが7~8フィートの本流サクラマスロッドでした(まだ専用の竿など無かった時代なので)。ラインもフロロカーボンの6~8ポンドが標準。それで80cmオーバーのマダイも問題なく捕れました。だから、そのままのタックルが小泊や竜飛で使われ、「キャスト可能なウエイト」ということで28~40gのメタルジグが標準になっただけの話なのです。

よって、小型のメタルジグほどよく釣れる・・という先入観は捨てて大丈夫。実際、ダウンサイジングで食ってくるケースもありますが、マダイが相手ならば100gでも200gでも釣果に大差はありません。だから、潮が早かったり、深いポイントでマダイを狙うならば、迷わず重いメタルジグを使えばいいのです。自然界では20cm以上のベイトはもちろん、30cmを超えるイカも捕食してしまうマダイ。200g程度のメタルジグには普通に反応しますから。

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