このたびの地震で被害を被られた皆様には、心からお見舞い申し上げます。

シマノリールで使われている「ウォームシャフト」と呼ばれるクロスギア。オシレートを司る重要な役割をしますが、このギアの上を常に往復しているのが「ウォームシャフトピン」です。ウォームシャフトピンは、ウォームシャフトの両端で方向を180°変える働きをしますが、このピンが消耗するとオシレートの折返し地点で「カクン、カクン・・」と微妙にスプールが左右する異常な動きが出るようになります。
リール内部のパーツの中では摩耗しやすく、使用頻度にもよりますが早ければ2、3年で症状が出ます。近年のサイレントドライブ採用のリールについてはわかりませんが、少なくともそれ以前のシマノリールの欠点のひとつと言えるでしょう。

手っ取り早く直すには、ウォームシャフトとピンの両方を交換すれば良いのですが、今回メンテした11バイオマスターのように、すでに部品供給がストップしている場合は(シマノに問い合わせれば、まだ在庫がある場合もあります)、できる範囲で修理するしかありません。

修理と言ってもそれほど大げさなものではなく、ピンの向きを180°変えてやるだけ。どちらか片側だけが摩耗している場合は、これだけでかなり症状が改善します。ご自分でメンテされる方はお試しあれ。
今日は11バイオマスターと12セフィアの2台を全分解オーバーホール。10年以上使い込まれたリールは、なかなか大変で、超音波洗浄機が活躍しました。

下がウォームシャフト、上の矢印がウォームシャフトピン
すり減ってザラザラになった摺動子はコンパウンドで磨く

メンテはできるだけパーツ交換をせずに(コストを抑えて)、現状よりも良い方向に改善するために行うもの。パーツが摩耗している限り、どんなに手慣れた人でもパーツ交換無しで新品同様に復活させるのは無理です。だから、ちょっとしたゴリ感、違和感、音などが気になるという方は、最初からメンテなど考えず、メーカーに出してパーツをごっそり交換してしまうことをおすすめします。最低限、すべてのギアとベアリングを新品にすれば、かなり新品に近くなるかも?